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■:ガード不能巣立ち
ゲームと向き合い直し、隙あらばゲーセンで遊べる様な気持ちを取り戻した私でしたが、現実の状況は何も変わっておらず息苦しい日々を送っておりました。
そんなある日。
親から突然
「実家を潰して仕事場の方を改装して住む事にした。今の所あなたの部屋無いけどどうする?」
という宣告が。
父は石材業を営んでおり、仕事場は実家から少し離れた場所にあるんですが、そっちへ移り住むと。
で、1階しかちゃんと作らないけどお金出すなら2階に部屋作って好きにしていいよというお話でしたが、そんなまとまったお金なんてあるはずもなく。
さて困った。
とりあえず家は出なくちゃいけない感じだ。
部屋借りるならいい加減仕事もちゃんとしないとな。
もう選んでられないしどうせならしっかり長続きする仕事を…
じゃぁカプコンだな。
普通に考えたら無茶苦茶なチョイスですが、当時はホントこれしかない、と思いました。
vol.1でも書いた通りこんな感じにいかにもなルート分岐にぶち当たる事が度々あり、その時は自分を俯瞰して見ると進む道のヒントというか、「あぁ、コッチ行けって事ね」みたいな道筋があるものなのです。
この時は自分の心を戻したゲームがカプコン製だった事、TTK氏がデザイン会社を辞めてカプコンに入社していたという事があり、親からの宣告当日に即決しました。
思い立ったが吉日。早速TTK氏に電話し、経緯を伝えますると
「事情は分かったが、俺は口利きせんからな」
とのお言葉。ぬぅ。
まぁ面接で推せる実績はあるし、落ち着くまではTTK氏の家に厄介にならせていただけるとの事で、カプコンがダメでも福井で悶々としてるより遥かにイイでしょ、と宣告からあっという間に家から巣立ったのであります。
■:大阪編
というわけで大阪。
着くなり速攻で面接し、めでたく採用の運びとなりました。
自分が入ったのは品質管理部。要はバグチェックセクションですね。
口利きしないぞ、と言われてたのでイメトレもしてしっかり面接しましたが、後で聞いたら履歴書の住所の時点で「スキルの会長やんけ」とバレてたそうで。
自分の身の上を知ってる人が割といてちょっと気恥ずかしかったですね。
バグチェックセクションですからメイン業務はバグを見つける事。
勿論そういうのは得意中の得意。
業務的にはそれこそ天職ぐらいのハマりっぷりでしたし、ここまで様々なタイプのゲームを遊び込んできた事もあって何でもやってました。
面接でも「やれるのは格ゲーだけじゃないんで、むしろ避けて配置してもらうぐらいでイイです」と提示してたぐらいでしたし。
とはいえやはり格ゲーが来たら最優先で配置されるわけで、その時はチェックだけじゃなく企画補助の作業も色々やってました。
ハイパーストII、移植版ストIII3rd、カプコンファイティングJAM、PS2のヴァンパイアダークストーカーズコレクション辺りは特に。
と、そんな感じに自分の持ち味が発揮できて仕事は楽しいし、品管に在籍しながら開発の手伝いもできてとても充足していたんですが、やはり心の片隅には「創り出す仕事をしたい」という気持ちもずーっと残っていました。
とはいえこんなビタハマリしてる居場所もそうそう無いだろうし、仕事ってそういうもんだよな。
そう思い始めていた頃。
母が倒れ、私は3年ほど勤めた職場を離れ福井へ戻る事になります。
vol.5へ続く